結論:社会保険は知っていないと支援されません。仕組みを知って年金リテラシーをあげよう!!
給与明細書をみて毎回びっくりするのが「社会保険料」。
お給料からこんなに社会保険料引かれてる⁉︎
30万円もらえるはずが24万円しか振り込まれない。しかも、毎月のお給料だけでなくボーナスからも天引きされる。
こんなにもらえるお給料が少なくなるんだったら社会保険いらないわ。
その気持ち痛いほど理解できます。ただでさえ介護士のお給料は低いのに…と。
でも社会保険は国が「この場面で生活に困りやすくなるから支援が必要」と過去のデータを元に作ったシステムです。
支払う保険料が多い背景は「少子高齢化の影響」。日本で生きていく限り社会保険から逃げることはできません。一番困ることは、社会保険の支援を受けられるのに知らないために申請しないこと。
日本の社会保険は申請しないと1円たりとも支援されません。
社会保険って知っているだけで得することがたくさんあるんです。
- 医療保険を使えば、どれだけ高額な手術代がかかっても上限が決まっている。
- 障害者になって仕事するのが難しくなれば、年金をもらえる。
- 出産に「出産育児一時金」の制度がある。
これらは全て申請しないと給付されない制度です。
この記事では社会保険の基本的な考え方を解説していきます。読んでいただいた後は、さらに社会保険について知りたくなります。
社会保険はブラック企業でも完備しているぐらい、超基本的な福利厚生です。
【人生の困った場面で使える】社会保険加入のすすめ
社会保険は国が「こんな状況になったら生活に困るだろう。お金の問題で。」と想定して場面に支援してもらえる制度です。普段は保険料を支払い、支払ったお金は生活に困っている人に支援します。
国が想定しているお金に困る人生でのタイミングは以下の通りです。
社会保険をもらえる5つの場面
- 仕事中に怪我した。
- 失業した。
- 定年退職して収入がない。
- 病気になったので受診する。
- 介護が必要になった。
ポイントは誰でも必要になる可能性があるということです。社会保険がないとこれら5つの場面に遭遇すると生活が成り立たなくなってしまいます。なので、社会保険は加入しておきましょう。
ブラック企業でも社会保険は自動的に加入させられるんですけどねw
「本当に必要⁉︎」社会保険のない会社で働いたらどうなる?
年々、給料から天引きされる社会保険料が増えて手取りのお給料が減りつつあります。
えっ、4万円も社会保険料天引きされてる⁉︎
こんなんだったら、社会保険料ない方が自由にお金使えるのに…
給与明細書を見るたびに私もそんなことを何度思ったことか(笑)
社会保険は「人生でお金に困りやすい場面」を国が想定して、準備したシステムです。加入しないと笑い事ではすまないことになります。
社会保険がないと困る5つの場面
- 仕事中に怪我した。
- 失業した。
- 定年退職して収入がない。
- 病気になったので受診する。
- 介護が必要になった。
この5つの場面は誰でも可能性のある場面です。特に3つ目の定年退職は一部の「死ぬまで経営者やるぞ」とか株式の配当金だけで暮らせる人以外は必ずお金に困る場面です。
本当に「社会保険がなくても暮らせるのか?」イメージしてみましょう。
【社会保険がないと困る場面①】風邪を引くだけで1万円の病院代が…
【社会保険がないと困る場面②】仕事中に怪我や病気をしても何も保障されない。
最近の出来事で一番イメージしやすいのが「コロナ」。特に介護職の方が発症、濃厚接触者になったら出勤自体できませんでした。つまり(きちんとした会社であればの前提ですが)、労災と同じなのです。
私も令和4年2月にコロナを発症して10日ぐらい自宅療養していました。当時、新しい職場で有給休暇がまだなかったのです。その間のお給料が少なくなる予定でした。
でも「傷病手当金」の書類を会社の偉い人からもらって役所に提出したところ、ほぼ10日間お休みした分のお給料分のお金も後日に振り込まれました。
労災保険はあるだけで安心ね。
【社会保険がないと困る場面③】ブラック企業から解放されてもお金に困ってしまう。
ブラック企業を辞めにくい理由の一つが「お給料が振り込まれなくなる。」です。毎日残業して「昨日寝てねー」という不安はあっても、「お給料が振り込まれないかも⁉︎」という不安はありません。
でもブラック企業に限らず会社を辞めるとお給料は振り込まれません。その会社で仕事をしてないから当然ですね。
でも社会保険(雇用保険)で条件を満たすと失業保険(お給料の6割ほど)が支給されます。辞めてもある程度、収入が保障されるって心強いですよね?
私も失業保険はもらってました。
【社会保険がないと困る場面④】定年退職して収入がなくなった。
【介護福祉士試験にも出題】社会保険の仕組み
なんか、社会保障の本って読みにくいのよね。難しい感じばかりで。
3行ぐらいで「zzz」って。
会社が全部やってくれるんなら知らなくてもいいじゃないの?。
琴音、社会保険の仕組み知らんかったら困ったときに受け取られへんくなるかもしれんで!!
お姉ちゃん怖い!
社会保険はその時の社会状況によって大きく制度が変わります。それは国が作っている制度だから。そして、社会保険の給付を受ける(年金をもらうなど)は申請しないともらえません。
どこからお金を集めて誰に支援しているか?そこを知らないと、社会保険の情報を知らないまま、理解しないままお金に困ってしまう状況に直面してしまいます。
お金の流れを把握する。社会保険の仕組みを理解するのに欠かせない行動です。継続的に運営できるかどうかが決まるからです。
家計でも収入がなければ支出できないのと同じです。
保険料を国が徴収
保険といえば、保険料をメンバーから徴収して運営元が「これは生活に困るだろう」という場面の方に支援をします。生命保険であれば、生命保険をかけられた人が亡くなったら家族の方に死亡一時金を支払うみたいなイメージです。
社会保険は国が保険金を国民から徴収して、国が「これは生活に困る場面」という方に支援します。
集めた保険料で生活に困りそうな人に支援
集めた保険料を国が想定した「生活に困りそうな場面」の人にお金やサービスで支給します。たとえば、ブラック企業を退職した方は次の転職先が見つかってお給料をもらうまでは日々の生活費を残りの預貯金でやりくりしないといけません。
すぐに仕事が見つかればいいですが、必ずしもすぐに職にありつけるとは限りません。そこで受けられる保険のサービスが「失業給付」これは雇用保険のサービスです。年金や医療保険ほどは大きな金額ではないですが、実は雇用保険も会社と折半で保険料を給料から天引きされています。
今働いている会社を退職した後、申請をして認められたら失業等給付を受けられるようになります。
保険料で足りない部分は税金も使って支援
社会保険の財源(運営するためのお金)は保険料だけでなく、税金も使われています。背景には少子高齢化で徴収できる保険料の金額が少なくなっている状況があります。
保険料だけで賄えない部分は税金で賄うことで社会保険を運営できなくなるのを防いでいます。
社会保険は今まさに生活に困りかけている方に支援するための助け合いの制度なのです。
【知らないと損する】4種類の社会保険
それでは社会保険の具体的な中身について深掘りしていきます。社会保険は国が「人生のこの場面で生活に困りやすい」を予測して給付するようにシステムを作っています。
人生で生活に困りやすい5つの場面
- 仕事中に怪我した。
- 失業した。
- 定年退職して収入がない。
- 病気になったので受診する。
- 介護が必要になった。
これらの場面に対応したのが下の4つの社会保険です。
病気になった時の医療保険制度
病院や診療所で受診すると、月初に保険証を提示します。これは「この人は医療保険の被保険者ですよ」という証拠です。保険制度は保険料を支払うことが支援を受ける条件の一つだからです。
医療保険がないと、風邪で病院を受診するだけで1万円以上の支払いが請求されます。医療保険制度があまり充実していないアメリカでは一回手術するだけで、家を変えるぐらいの金額に請求書がきたという話も珍しくありません。
医療保険があることで、本来の医療費の3割で受診することができます。
医療保険は大きく分けると2つに分類されます。
国民健康保険は各市町村が「保険者(保険をかける人)」で対象は自営業やフリーターです。役所に保険料を納めないといけません。ちなみに国民健康保険は世帯ごとに保険料の納付書が送られてきてまとめて支払います。
健康保険は会社員や公務員など、会社に雇われて働いている方達の医療保険制度です。社会保険は国から定められているあって当たり前のもの。お給料から自動的に天引きされます。
収入源が亡くなった時の年金保険
年齢を重ねると、体力だけでなく集中力も衰えてきます。いつまでも、元気に働けたらいいのですが、そうもいきません。そこで、原則65歳になるともらえるのが年金保険です。年金保険をもらえる場面として3つあります。
私たちがよく耳にするのが老齢年金。定年退職した後にもらえます。でも、老齢年金以外にも障害年金、遺族年金があります。知らないと申請できないので、もらえません。
「それいけ!アンパンマン」はカレーパンマンや食パンマンがいるように、年金も老齢年金だけでなく、障害年金、遺族年金もあるんです。
年金保険は多く分けて2つあります。国民基礎年金と厚生年金です。国民基礎年金はフリーランスや学生、個人事業主が加入するのが国民基礎年金。厚生年金は公務員、会社員、教職員が加入します。
そして、厚生年金は自動的に会社で給料から天引きされる制度です。厚生年金をかけている間は基礎年金も保険料を支払っているとみなされています。これが年金の「二階建ての構造」と呼ばれるものです。ちなみに、公務員や教職員が加入していた共済年金は2015年に厚生年金に統合されています。
年金制度は改正されることがあります。年金が改正されたら経過措置(改正のための不都合を出来るだけ小さくする措置)の確認もしておきましょう。
介護士なら知ってて当たり前の介護保険制度
介護士にお馴染みの「介護保険」。対象は40歳以上の全国民です。保険料は40歳以上ですが、実際に介護保険制度のサービスを利用するのは65歳以上の方で介護や介護の予防が必要だと介護保険審査会と呼ばれる組織や市町村から認められた方だけです。
要介護や要支援と呼ばれる階級をつけられます。要介護度や要支援度によって受けられるサービスの種類や量が違います。
介護保険は本来支払うべき介護費の1割で受けられます。一定以上の所得のある方は2割、3割と自分で負担する介護費が増えていきます。1割で介護保険のサービスを受ける場合「介護保険の負担割合証」というものが必要になります。
介護保険はサービスが多いのとサービスを受けるのに制約があり複雑な制度です。そのため、他の社会保険とは違い「ケアマネージャー」という職種の方がサービスの調整や介護保険の更新の処理を代理でやってくれます。
ちなみに介護保険者証と呼ばれるものは介護度がついているついていないに関わらず65歳以上になると、全ての人に交付されます。
その他(労災保険、雇用保険)
雇われて仕事をするときに加入する雇用保険と労災保険があります。雇用保険は自分と会社が折半して保険料を支払います。労災保険は100%会社負担です。特に雇用保険は、会社を辞めた後の生活費等を支給してくれる「失業等給付」と呼ばれるものがあります。
勤続年数や通算での平均お給料にもよりますが、大体お給料の6割程度が28日ごとに支払われます。ただし、月に最低2回は就職活動をしてハローワークに申告しなくてはいけません。
また、失業保険を使うには退職後にもらえる「離職票」が必要になります。仕事を辞める前に、事務方に離職票はいつもらえるのか?確認しておきましょう。
私も失業保険にはお世話になりました。
今回のまとめ
社会保険は国が想定している対象「こんな場面になったら、お金に困るだろう」の条件に当てまる方です。具体的にどんな場面があるのかは以下の通りです。
- 仕事中に怪我した。
- 失業した。
- 定年退職して収入がない。
- 病気になったので受診する。
- 介護が必要になった。
つまり、所属している職場がなくて無職。病気や怪我で仕事ができなくなる。これらのイベントが起きると収入がなくなります。さらに病院代が必要になり支出が増える。これらの場面に対応した国からの経済的な支援の一つが社会保険です。
- 労災保険
- 雇用保険
- 国民年金
- 医療保険
- 介護保険
社会保険は保険料を支払わないと支援してもらう権利を失います。保険料や税金で生活に困っている人に経済的に支援します。会社員のときは会社が給料から天引きされます。給与明細書で社会保険料をかけてもらっているかどうか確認しましょう。